「ファネルを広げましょう」「パイプラインを整備しましょう」——マーケティングやツールの説明で、よくこう言われる。だが正直なところ、「ファネル」も「パイプライン」も、何を指しているのかピンとこない、という社長は多いのではないだろうか。
その分かりにくさを、台所や工事現場でおなじみの物理的なイメージに置き換えて説明し直したのが「コーンパイプ理論」だ。考案したのは、会計ソフト屋29年・社長業19年目の中山博之(私)。GoHighLevel(ゴーハイレベル)というオールインワン営業支援ツールを日本で初めて販売・サポート・開発・コンサルティングする中で、既存のマーケティング用語では中小企業の社長にまったく伝わらない、という壁にぶつかったのがきっかけだった。
コーンパイプ理論とは何か
結論から言うと、こういう図になる。

上の広い「コーン(じょうご)」の部分が、SNS発信・広告・紹介・講演で入ってきた訪問者を、LPやサイト、ステップメールで自動的にリードへと絞り込んでいく工程。マーケティング用語で言う「ファネル」にあたる。
下の細長い「パイプ(管)」の部分が、リードを受注・納入・回収へと人が動かして流していく工程。マーケティング用語で言う「パイプライン」にあたる。GoHighLevelで言えば、かんばん形式で案件を管理する機能そのものだ。
「ファネル」も「パイプライン」も別々の専門用語として覚えるより、「じょうごで集めて、配管で運ぶ」という1本の水道管としてイメージしたほうが、圧倒的に頭に入りやすい。
なぜ「AIDMA」ではなく「水道工事」なのか
マーケティングの世界には、AIDMA(認知→興味→欲求→記憶→行動)のような、顧客の心理段階でファネルを説明する考え方がある。理論としては正しいのだが、実務で使おうとすると、この2つの立場のどちらで考えるかで、社長にとっての使いやすさがまるで違ってくる。
| AIDMA型(心理段階論) | コーンパイプ型(実務・配管論) | |
|---|---|---|
| 扱う対象 | 顧客の頭の中(認知・興味・欲求・記憶・行動) | 水の流れ(流量・漏れ・詰まり) |
| 観察できるか | できない(心理は見えない) | できる(アクセス数・登録率・遷移率で全部測れる) |
| 打ち手との対応 | 曖昧(「興味を高める」の具体策は無限にある) | 1対1で対応する(流量不足→発信を増やす/穴→LPを直す/詰まり→接続部を直す) |
| 経営者にとって | 評論はできるが、指示が出せない | 工事の発注書が書ける |
AIDMAは心理学です。コーンパイプは水道工事です。社長に必要なのは、工事の方です。
心理段階論を否定しているわけではない。「なぜ穴が開くのか」を説明する理論としては、水道工事の下に敷いておけばいい。ただ、日々の経営判断で表に出すのは、指示が出せる配管論のほうだ、という話だ。
売上が伸びない理由は、3つしかない
コーンパイプ理論で見ると、売上不振の原因はどんな会社でも次の3つのどれかに落ちる。
- ①流量不足(間口が狭い)——そもそもコーンに入ってくる人が少ない。SNS発信・広告・紹介を増やして、間口を広げる。
- ②穴(漏れ)——コーンの中で人が離脱している。LPの情報量を見直し、説明を補って穴をふさぐ。
- ③詰まり(接続の不良)——コーンからパイプへ、あるいはパイプの途中で流れが止まっている。ツール同士の連携や引き継ぎの接続部を直す。
「売上を上げるには、何をすればいいか分からない」という悩みは、たいていこの3つのどれに手を打つべきかが整理できていないだけ、というケースが多い。
コーンだけでは終わらない——型A・型Bの2つの経路
実際の商売では、コーンの出口が1種類とは限らない。コーンパイプ理論には、リードの温度に応じた2つの型がある。

型A・直結型は、紹介や講演など、すでに温度の高いリード向け。コーンから出た水を、そのまま受注・納入・回収のパイプへ直結させる。
型B・教育型は、ネット経由の低温度リード向け。コーンの出口を受注ではなく「タンク(オプトインリスト)」に変え、いったんリストという貯水槽に貯めてから、メール・動画・診断といった教育パイプを通して温度を上げ、そのうえで受注・納入・回収のパイプへつなぐ。
ここで見落とされがちなのが、パイプが「受注」で終わっていない、という点だ。世の中の営業管理の話は成約(受注)で止まりがちだが、中小企業の実感としては、納品して、入金されて、初めて仕事が終わる。会計ソフト屋を29年やってきた身としては、回収まで含めて1本の管として描かない配管図は、正直あまり意味がないと思っている。
まとめ——自分の会社の配管図を描いてみる
コーンパイプ理論の考え方はシンプルだ。
- コーン(じょうご)=ファネル。集めて、リード化する場所
- パイプ(配管)=パイプライン。受注・納入・回収まで、人が流す場所
- 不振の原因は、流量不足・穴・詰まりの3つだけ
もし今、自社の売上の伸び悩みに心当たりがあるなら、一度、自分の会社のコーンとパイプを紙に描いてみてほしい。どこが細く、どこに穴が開いていて、どこが詰まっているか——それが見えた時点で、打ち手はもう半分決まっている。
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著者:中山博之(ニタ)。会計ソフト屋29年・社長業19年目。GoHighLevel(ゴーハイレベル)の日本初の販売・サポート・開発・コンサルティング事業者。

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