GoHighLevelで空き枠と順番待ちを自動マッチング——枠が空いた瞬間に条件の合う方へ案内が届く設計(習い事教室のケース)

集客に困っていない会社でも、システムが役立つ場面があります。

むしろ、その必要性が大きいケースも少なくありません。

人気のある習い事教室では、入会待ちの順番が数百人になることがあります。

習い事教室・スクールの空き枠と順番待ち 導入前の課題を示す図解

新しい校舎を開ければ問い合わせが集まり、多くの方が待機リストに登録されます。

一方で、現場では別の課題が発生しています。

  • 待機リストが紙やエクセルで管理され、希望条件(校舎・曜日・時間帯・クラス)が検索できない
  • 空き枠が出るたびに、担当者がリストを確認しながら、電話を1件ずつかける
  • 連絡がつかない、条件が変わっていた、すでに他所へ決まっていた——枠が空いたまま時間が過ぎる

順番待ちの方が多いにもかかわらず、空き枠の期間が発生してしまう。

この矛盾は、待機者と空き枠を突き合わせる作業を人力で行っていることが原因です。

目次

AIにやらせる、という選択肢

「待機者リストをAIに読み込ませ、空き枠に合う方を選べばよい」という考え方は自然です。

実際、候補を抽出する精度も実用的な水準になっています。

ただ、この業務には2つの特性があります。

1つは、毎回同じ基準で選ばれるべきことです。

AIの判定は、実行するたびに結果が変わる場合があります。

もう1つは、個人の生活情報を扱うことです。

外部のAIサービスへ渡すデータは、できるだけ最小限に抑えたいという事情があります。

そのため、このケースでは役割を分けて設計します。

条件の照合はデータベースの機能で行います。

校舎・曜日・時間帯のような明確な条件であれば、検索条件の一致だけで十分です。

一方、AIは文章を扱う部分だけに利用します。

問い合わせメモの要約や案内文の下書きなどを担当させることで、確実さと利便性を両立できます。

設計の中身——「枠が空いた瞬間」を起点にする

習い事教室・スクールの空き枠と順番待ち 仕組みの流れを示す図解

このケースは、GoHighLevel(GHL)の標準機能を組み合わせて構成しています。

  1. 待機者のデータベース化: 問い合わせがあった時点で顧客カードを作成し、希望条件(校舎・曜日・時間帯・クラス・入会希望時期)を項目として登録する。「なんとなくリストにいる人」を「条件で検索できる人」に変える
  2. 空き枠の発生をトリガーにする: クラスの状態が「空きあり」に変わった瞬間を起点に、自動化の流れ(ワークフロー)を発火させる
  3. 条件照合と案内の運用順序: 空いた枠の条件(校舎・曜日・時間帯・月謝)に合う待機者へ案内を送り、返事がないときの待ち時間や次の人への回し方は教室の方針で先に決めておき、予約導線へつなぐ
  4. 記録は自動で残る: 誰に・いつ・どの枠を案内したかが、全員のカードに履歴として残る。「案内済みなのに二重で電話した」も消える

なお、GoHighLevelには条件の合うレコード同士を自動でひも付ける機能がLabsのベータ機能として用意されています。使うには、Labs Betaの有効化、対応するWorkflowの種類の選択、associationの設定が必要です。条件がそろえば、この設計の中核部分に使える見込みですが、この記事の時点では実機で確かめていません。

待機者の項目の決め方の例

待機リストをデータベース化する際、どのような項目を持たせるかが運用の成否を分けます。現場で迷いにくいよう、明確な選択肢として持たせるのがコツです。

具体的な項目設定の例としては、次のような構成が考えられます。

  • 校舎:渋谷校、新宿校、オンライン校などの選択肢
  • 曜日:月曜日、水曜日、土曜日などの選択肢
  • 時間帯:午前(10:00-12:00)、夕方(16:00-18:00)などの選択肢
  • クラス:初級クラス、中級クラスなどの選択肢
  • 入会希望時期:すぐにでも、来月以降、春からなどの選択肢

これらを自由記述ではなく、選択式のタグやカスタムフィールドとして持たせることで、後から自動化の条件式で正確にヒットさせられるようになります。

確かめる点として、日頃の問い合わせ受付時に、スタッフがこの項目をもれなく入力できているか、入力規則が揃っているかを確認しておきましょう。

空き枠の案内の文例

条件に合う待機者が見つかり、空き枠の案内を自動送信する際の文章の例です。機械的すぎず、丁寧なトーンを意識します。

【案内文例】
〇〇様

いつも当教室をご利用いただきありがとうございます。
以前にお伺いしておりましたご希望条件([校舎名]・[曜日]・[時間帯])に合致するクラスに、空き枠が発生いたしました。

つきましては、下記のご予約ページよりお手続きにお進みください。

[予約ページへのリンク]

なお、定員に達した場合や、他の方の申込等で枠が埋まった場合は受付を終了いたしますので、あらかじめご了承ください。
よろしくお願い申し上げます。

このように、システムから自動送信される場合でも、宛名や希望条件の部分が自動で差し込まれることで、受け取った側が「自分のための連絡だ」とすぐに理解できるようになります。

案内した後に返事がないときの次の人への回し方の考え方

空き枠の案内を送信したあと、すぐに返事や予約が入るとは限りません。返事がない場合の次への回し方をあらかじめ設計しておく必要があります。

例えば、返事を待つ時間を教室の方針で決めておく場合は、次のようなステップが考えられます。待つ時間の長さや、その間に枠を取り置くかどうかは、教室の事情に合わせて決めます。

  • 第1段階:条件に合う待機者へ案内メールを送信する
  • 第2段階:送信後、あらかじめ決めた待ち時間のあいだに予約や返事の反応がない場合や辞退された場合で、かつ枠に空きがある場合にはステータスを見送りに切り替える。すでに枠が埋まった場合は案内を終了する
  • 第3段階:辞退や期限切れにより枠に空きがある場合に限り、次の条件合致者へ同様の案内が進むよう順次つなぐ

このような段階的なルールをワークフローに組み込んでおけば、スタッフが「まだ返事がないから次を調べよう」と手動で確認して連絡し直す手間を減らせます。

こうした仕組みづくりについては、GoHighLevelで車検・点検の確認電話をメール・SMSの自動確認に置き換えるの考え方や、GoHighLevelで空室管理をガントチャート1画面にのステータス管理手法とも共通する部分があります。また、GoHighLevelで資金繰りを見える化のように、先の見通しを自動で整理する発想も役立ちます。

導入前に今の待機リストを整える手順

自動マッチングの仕組みをシステムに組み込む前に、現在バラバラに存在している待機リストのデータを整理しておく必要があります。いきなりシステムに流し込んでも、元のデータが汚れていると正しくマッチングされません。

具体的な手順は次の通りです。

  1. 現在のリストの回収:紙のノート、個別のエクセル、メモ帳などに散らばっている待機者の情報をひとつの場所に集約する
  2. 項目の統一:前述した校舎・曜日・時間帯・クラスの条件が、統一された選択肢(プルダウンなど)の形式に収まるようにデータをクリーニングする
  3. 連絡先の有効性確認:メールアドレスや電話番号に不備がないか、すでに他所へ決まって辞退されている人が混ざっていないかをチェックしてリストを最新化する
  4. システムへのインポート:整理されたリストをGoHighLevelの顧客データベースにインポートし、カスタムフィールドに正しく値が入っていることをテスト確認する

この事前の整理を丁寧に行うことで、自動化を開始してからスムーズに条件が一致し、運用をスタートさせることができます。

正直に書くと、ここは「設計の絵」です

この記事で紹介している仕組みは、前の記事(空室管理のガントチャート化)とは異なり、まだ実機では動かしていません。

待機リストの入口と枠の管理までは動作していますが、両者をつなぐ自動マッチングはこれから構築する予定です。

これから自社で構築する過程も、この連載で公開していきます。

設計どおりに動いた部分と、実機で工夫が必要だった部分を、そのまま記録していく予定です。

順番待ちがある業種なら、同じ形が使える

習い事教室・スクールの空き枠と順番待ち 導入後のイメージを示す設計の例の図解
導入後のイメージ図です。仕組みを設計した場合の例を示したもので、実際の成果を示すものではありません。

この仕組みは、習い事教室に限ったものではありません。

人気クリニックの予約枠、賃貸の入居待ち、貸倉庫やレンタルスペースの空き待ち、修理・工事の順番待ちなどでも応用できます。

「枠が空いた瞬間に、条件の合う待ち手へ自動で声がかかる」という考え方は、そのまま流用できます。

共通する効果は2つあります。

1つは、空白期間(機会損失)を短縮できることです。

もう1つは、「お待たせしている方への連絡が遅れる」という信頼低下につながる状況を、仕組みによって防げることです。

(マンガは右上から左へお読みください)

4コマ漫画 仕組みの導入イメージを描いた例
導入イメージを描いた4コマ漫画です。設計の例であり、実際の成果を示すものではありません。

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この記事は、GoHighLevel導入シナリオ集(全20本)の1本です。


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中山博之(ニタ)/ニタ@AIと会社を経営する55歳
会計ソフト会社に29年、社長業は19年目。中小企業の現場で生まれた仕事の仕組みを、AI時代向けに作り直しています。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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