先に結論:どちらが優れているかではなく、向いている相手が違います
「kintone(キントーン)で顧客の管理までやれるのか」を調べている方に、先に結論をお伝えします。
kintoneは「社内の仕事を、自分たちの形に合わせて作れる」ことに向いた道具です。紙とExcelで回していた申請・在庫・案件管理を、現場の人が自分の手で画面にしていける。ここがこの製品の設計の中心にあります。
一方で、社外のお客さまに向かって毎日出していく仕事——一斉のメール配信、申し込みページの用意、資料請求のあとの追いかけ——は、公式サイトに載っている標準の機能一覧の中には見当たりません。
これは優劣の話ではありません。どこを受け持つ道具として作られているか、という設計の思想の違いです。社内を整えるために作られた道具に、社外への集客まで求めるのは、そもそも役割が違います。
この記事では、公式サイトに書いてあることだけを使って、kintoneの得意な場所を整理します。そのうえで、その先の区画を誰が受け持つのかという話をします。
kintoneの料金とコースの違い【2026年8月調査】
まず料金です。2026年8月8日に公式サイトで確認した内容は次のとおりでした。
| 項目 | ライトコース | スタンダードコース | ワイドコース |
|---|---|---|---|
| 月額(1ユーザー・税抜) | 1,000円 | 1,800円 | 3,000円 |
| 年額(1ユーザー・税抜) | 12,000円 | 21,600円 | 36,000円 |
| 最小の契約ユーザー数 | 10ユーザー | 10ユーザー | 1,000ユーザー |
| アプリの上限 | 200個 | 1,000個 | 3,000個 |
| スペースの上限 | 100個 | 500個 | 1,000個 |
| 拡張機能(プラグイン) | — | 利用できる | 利用できる |
| APIの1日あたり上限 | — | 1万 | 10万 |
| ディスク容量 | 1ユーザーあたり5GB | 同左 | 同左 |
| 無料お試し | 30日間 | 30日間 | 30日間 |
出典:kintone公式サイト 料金ページ(2026年8月8日確認)
表を見て最初に気づくことが2つあります。
ひとつは、年額が月額のちょうど12倍だということ。ライトは1,000円×12=12,000円、スタンダードは1,800円×12=21,600円。つまり年払いにしても金額は変わりません。「年払いにすれば安くなるはず」という前提で見積もりを立てていると、ここで計算が合わなくなります。
もうひとつは、最小の契約ユーザー数です。ライトとスタンダードは10ユーザーから。3人の会社でも5人の会社でも、10人分の料金から始まります。ワイドコースは1,000ユーザーからなので、これは大企業向けの区分だと読めます。
無料お試しは30日間で、期間中はユーザー数の制限なく、スタンダードコースの機能を試せるとされています。
公式サイト要確認
- プラグインや連携サービスの数、導入を支援するパートナー会社の数は、本記事の調査時点では該当ページを取得できませんでした。必ず公式サイトでご確認ください。
- キャンペーン価格、教育機関向け・非営利団体向けの割引の有無は、時期によって変わります。
- 上の表は税抜の表示です。実際のお支払い額は消費税を加えた金額になります。
一番の価値は「あとから、自分たちの形に合わせられる」ことです
kintoneの一番の価値を1つだけ挙げるとすれば、「先に完成品を選ばなくていい」ことだと考えています。
多くの業務システムは、買う前に仕様を決めます。要件を書き、見積もりを取り、開発してもらい、出てきたものを使う。ところが現場の仕事は、動かしてみて初めて「この項目、要らなかったね」「ここに1つ欄が欲しい」が分かります。最初に決めた仕様が、使い始めた翌月には合わなくなっている。これは誰のせいでもなく、仕事というものがそういう性質を持っているだけです。
kintoneは、その順番を逆にできます。まず粗く作って、使いながら直していける。しかも直す人は、外注先ではなく現場の担当者でかまいません。項目を1つ足すのに稟議も見積もりも要らない、という状態は、想像以上に効きます。
スタンダードコース以上ではプラグインによる拡張とAPI(外部のプログラムからつなぐ入口)が使えるので、「標準の機能では届かないところだけ、あとから足す」という増築の仕方もできます。1日あたり1万リクエストという上限は、社内の業務システムとして使う分には、まず当たらない水準です。
アプリを1,000個まで作れる、というのも数字以上の意味があります。「とりあえず作ってみて、要らなければ捨てる」ができるということです。捨てられる道具は、試せる道具です。
ここから先は、別の道具の受け持ちになります
さて、ここからが本題です。批判ではなく、役割の線がどこに引かれているかの話として読んでください。
公式サイトの料金ページと機能の説明を見ていくと、載っているのは「社内で使う仕組みを作るための部品」です。アプリ、スペース、プラグイン、API、ディスク容量。どれも、中で使う人を前提にした数え方になっています。
裏を返すと、次のようなことについては、標準の機能一覧の中に項目として見当たりません。
- 見込みのお客さまに向けた、一斉のメール配信
- 申し込みや資料請求を受けるための、外部に公開するページの作成
- 「資料を見た人に3日後にもう一度お知らせを出す」といった、社外向けの追いかけの自動化
これらが「できない」と断定するつもりはありません。プラグインやAPIを使えば、外部のサービスとつないで実現している会社もあるはずです。私が言えるのは、公式サイトに標準の機能として書かれているのを見つけられなかった、ということだけです。
そして、これは足りないという話ではありません。社内を整える道具として作られている以上、外向きの機能が中心に置かれていないのは自然なことです。ドライバーで釘を打とうとして「打ちにくい」と言うのは、道具の側の問題ではありません。
問題は、社内が整ったあとに必ず訪れる次の問いのほうです。
「仕組みは整った。ところで、お客さまはどこから来るんだったっけ」
ここに答えるのは、別の区画の道具の仕事になります。
私たちが受け持っている範囲
ここで、自分の立場を明かしておきます。
私は会計ソフト会社に29年、社長業は19年目です。中小企業の現場で生まれた仕事の仕組みを、AI時代向けに作り直しています。そして今、GoHighLevel(ゴーハイレベル)という海外製のツールを日本語で使えるようにして、中小企業向けに提供しています。
だから私は中立ではありません。その前提で、うちが受け持っているのがどこかをお伝えします。
うちが受け持っているのは、社外に向かう区画です。問い合わせを受けるページ、その後のメールやSMSでの追いかけ、商談がどこまで進んでいるかの管理、予約の受付。「見込みのお客さまが最初に触れる場所から、契約になるまで」の一本の流れを、1つの中でつなぎます。
先に弱いところをお伝えします。
- 海外製です。画面の一部に英語が残ります。日本語化と使い方の案内で埋めていますが、輸入品であることは事実です。
- 社内の業務システムを作る機能は、kintoneほどの自由度はありません。現場が自分の手で申請フローや在庫の画面を組み上げていく、という使い方には向いていません。
- 料金の考え方が違います。うちは席(ユーザー数)で数えません。会社単位の固定です。人数が増えても月額は上がりませんが、逆に1人や2人で使うなら、人数で数える製品のほうが安く収まることがあります。具体的な金額は用途によって変わるので、ここでは構造だけをお伝えしています。
つまり、kintoneの代わりにはなりません。うちが向いているのは、社内は今のままで、対外の集客と追客だけを足したい会社です。
判断の軸:いま、お客さまの名簿はどこにありますか
道具を選ぶときの軸を1つだけ挙げるなら、これです。
> いま、お客さまの名簿はどこにありますか。
答えによって、次にやることが変わります。
「Excelと紙です」という方——まず社内を整えるところから始めるのが順番です。kintoneはこの段階に強い道具です。バラバラの台帳を1か所に集めて、誰が見ても同じ数字が見える状態を作る。ここができていないうちに集客の自動化を足しても、入ってきたお客さまの情報が受け止められません。
「グループウェアの中にはあります。でも、そこから先が動いていません」という方——社内は整っています。足りないのは外向きの一区画だけです。今の仕組みを入れ替えるのではなく、足すという選び方ができます。
「顧客の管理と集客の両方を、1つにまとめたい」という方——ここが、うちのような社外向けのツールの守備範囲です。ただし社内の業務システムまで1つにまとめようとすると、どちらも中途半端になります。
もう1つの軸は人数です。10人未満の会社なら、10ユーザーからという最小の決まりは、実質的に「1人あたりの単価が上がる」ことを意味します。5人の会社がスタンダードコースを使うと、月額18,000円(税抜)を5人で割ることになります。この計算は契約前に一度やっておくと、あとで驚かずに済みます。
比較のための一覧
| 見る場所 | kintone | 社外向けのツール(うちの受け持ち) |
|---|---|---|
| 受け持つ区画 | 社内の業務 | 社外への集客と追客 |
| 料金の数え方 | 1ユーザーあたり(席で数える) | 会社単位の固定(席で数えない) |
| 最小の人数 | 10ユーザーから(ライト・スタンダード) | 人数の下限なし |
| 現場が自分で画面を作る | 得意 | 苦手 |
| 一斉のメール配信 | 公式の標準機能一覧に記載を確認できず | 標準の機能 |
| 外部に公開するページの作成 | 公式の標準機能一覧に記載を確認できず | 標準の機能 |
| 日本語の対応 | 国産・全画面が日本語 | 海外製・一部に英語が残る |
| 無料で試せる期間 | 30日間 | 提供元により異なる(要確認) |
※kintone側の「記載を確認できず」は、機能が無いという意味ではありません。2026年8月8日時点で公式サイトの標準機能の一覧に該当の項目を見つけられなかった、という意味です。プラグインや外部連携による実現の可否を含め、必ず公式サイトでご確認ください。
まとめ
- kintoneは社内の仕組みを自分たちの形に作れる道具。まず粗く作って使いながら直せることが、一番の価値
- 料金は1ユーザーあたりの月額で、ライト1,000円・スタンダード1,800円(いずれも税抜)。年額は月額の12倍ちょうどで、年払いによる差額はない
- ライト・スタンダードは10ユーザーから。人数の少ない会社は、1人あたりの実質単価が上がる点を契約前に計算しておく
- 社外に向けた一斉配信・公開ページ・追いかけの自動化は、公式の標準機能の一覧では確認できなかった。ここは別の区画の道具の受け持ちになる
- 選ぶ軸は「いま、お客さまの名簿はどこにあるか」。Excelと紙なら社内から、グループウェアの中にあるなら外向きの一区画だけを足す
料金も機能も変わることがあります。判断の前に、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。
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