先に結論:人数で費用が動く道具は、契約する前に人数で計算しておくと迷いません
サイボウズの3つの製品——kintone(キントーン)、サイボウズOffice、メールワイズ——には、料金表の一番下に小さく書かれている共通の決まりがあります。
最小の契約ユーザー数です。
kintoneのライトコースとスタンダードコースは10ユーザーから。サイボウズOfficeは5ユーザーから。メールワイズは5人から。3人の会社でも、この人数分の料金からのスタートになります。
先に申し上げておくと、これは不親切な設計ではありません。サポートや基盤の維持には人数によらない固定の費用がかかるので、下限を置くのはむしろ合理的です。金額そのものも、この種の製品としては抑えられているほうだと感じます。
ただ、知らずに見積もると計算が合わなくなるのは事実です。だからこの記事では、公式サイトの数字だけを使って、10人・30人・100人の3つの規模で実際に計算します。そのうえで、費用を抑えるために現場でよく使われている工夫を3つ紹介します。
批判をしたいのではありません。自分の会社がいくら払うことになるのかを、契約の前に自分で計算できる状態を作るのが、この記事の目的です。
調べてみて、意外だったこと
この記事を書くにあたって、業務システムの公開されているレビュー52件を自分たちで読み、不満の内容ごとに分類してみました。
費用について書かれていたのは12件。そのうち「単純に高い」と書いていたのは3件だけでした。残りの9件が指していたのは、金額の大きさではなく——
- 基本の機能だけでは足りず、追加の費用が後から積み上がった
- 最小の構成で足りるはずが、上位のプランでないと使えない機能があった
- 使いこなせないままだと、結果として割高になった
つまり、多くの方が困っているのは「高い」ことではなく、「費用が事前に読めない」ことでした。
だとすれば、対策も変わります。安い製品を探すことより、契約する前に、自分の会社の場合いくらになるのかを自分で計算できるようにしておくことのほうが効きます。この記事を計算から始めるのは、そのためです。
3つの製品の料金と、最小の人数【2026年8月調査】
2026年8月8日に各公式サイトで確認した内容です。金額はすべて税抜です。
| 製品 | コース | 月額(1ユーザー) | 年額(1ユーザー) | 最小の人数 | 無料お試し |
|---|---|---|---|---|---|
| kintone | ライト | 1,000円 | 12,000円 | 10ユーザー | 30日間 |
| kintone | スタンダード | 1,800円 | 21,600円 | 10ユーザー | 30日間 |
| kintone | ワイド | 3,000円 | 36,000円 | 1,000ユーザー | 30日間 |
| サイボウズOffice | スタンダード | 600円 | 7,200円 | 5ユーザー | 30日間 |
| サイボウズOffice | プレミアム | 1,000円 | 12,000円 | 5ユーザー | 30日間 |
| メールワイズ | スタンダード | 600円 | 7,200円 | 5人 | 30日間 |
| メールワイズ | プレミアム | 1,800円 | 21,600円 | 5人 | 30日間 |
出典:kintone 料金/サイボウズOffice 料金/メールワイズ 料金(いずれも2026年8月8日確認)
先に1つ、気づいたことがあります
年額は、月額のちょうど12倍です。
kintoneライトは1,000円×12=12,000円。サイボウズOfficeスタンダードは600円×12=7,200円。メールワイズプレミアムは1,800円×12=21,600円。7つのコースすべてで、年額=月額×12が成り立ちます。
つまり、年払いにしても割引はありません(2026年8月8日時点の公式表示に基づく)。
これは悪い話ではなく、むしろ分かりやすい設計です。「年払いで2か月分お得」といった条件が付くと、途中解約したときの精算が複雑になります。12倍ちょうどなら、月の途中で人数が変わっても計算が読めます。
ただし、「年払いにすれば予算が浮くはず」という前提で計画を立てていると、その分は浮きません。ここは先に知っておく価値があります。
公式サイト要確認
- 教育機関向け・非営利団体向けの割引、時期ごとのキャンペーンの有無は、本記事では確認していません。必ず公式サイトでご確認ください。
- 上の表は税抜です。実際のお支払いには消費税が加わります。
- 最小人数の扱い(下回った場合の請求の仕方、途中で人数を減らせるか)は、契約条件のページをご確認ください。
10人・30人・100人で計算してみます
最小人数の決まりが効くのは、人数が少ないときです。実際に計算します。金額は税抜の月額です。
| 実際の人数 | kintone スタンダード | サイボウズOffice スタンダード | メールワイズ スタンダード |
|---|---|---|---|
| 3人 | 18,000円(10人分) | 3,000円(5人分) | 3,000円(5人分) |
| 5人 | 18,000円(10人分) | 3,000円 | 3,000円 |
| 10人 | 18,000円 | 6,000円 | 6,000円 |
| 30人 | 54,000円 | 18,000円 | 18,000円 |
| 100人 | 180,000円 | 60,000円 | 60,000円 |
ここから見えることが2つあります。
1つ目。人数が少ないほど、1人あたりの実質単価は上がります。kintoneスタンダードを3人で使うと、月額18,000円を3人で割ることになるので、1人あたり6,000円です。表示の1,800円の3倍を超えます。10人になって初めて、表示どおりの単価になります。
2つ目。人数が増えるほど、費用は素直に増えます。100人でkintoneスタンダードを使うと月額180,000円、年間で216万円です。この金額自体が高いか安いかは、その仕組みが生む効果と比べる話なので、ここでは判断しません。ただ、「人が増えると費用も増える」という向きは、契約したその日から動き出します。
採用が進む会社ほど、この向きは効いてきます。3年後に人数が倍になっていたら、この費目も倍になっている、ということです。
費用を抑える3つの工夫
ここからが本題です。現場でよく使われている、無理のない工夫を3つ挙げます。
工夫1:全員に配らない
一番よく効くのがこれです。
グループウェアは「全社員に配るもの」という思い込みがありますが、製品によっては、その仕組みを実際に触る人だけに配れば足りる場面があります。たとえば案件の管理を営業の8人だけで回しているなら、製造や配送の担当者にまでライセンスを持たせる必要があるかは、一度確認する価値があります。
ただし、これは製品や運用の仕方によって可否が変わります。「閲覧だけの人にもライセンスが要るのか」は、契約の前に販売元へ確認してください。ここを推測で進めると、あとから追加請求になることがあります。
工夫2:コースを目的で選び直す
kintoneのライトとスタンダードの差は月額800円、10人なら月8,000円、年間で96,000円です。
この差額が何のためのものかというと、公式サイトの表示では拡張機能(プラグイン)とAPI、そしてアプリ数・スペース数の上限です。逆に言えば、外部のサービスとつなぐ予定がなく、アプリを200個も作らないなら、ライトコースで足りる可能性があります。
サイボウズOfficeも同じ構造です。スタンダードとプレミアムの差は、公式サイトの記載によればカスタムアプリ機能の有無だけです。標準の機能で回っているなら、上位のコースに上げる理由はありません。
「とりあえず上位のコース」で始めて、そのまま3年経っている——これは本当によくあります。年に1度、実際に使っている機能と契約中のコースを突き合わせるだけで、変わることがあります。
工夫3:役割の重なりを1つに寄せる
3つ目は、製品をまたいだ話です。
メールワイズは問い合わせメールの共有と対応の管理、kintoneは業務のデータベース、サイボウズOfficeは社内の情報共有——それぞれ役割が違いますが、運用しているうちに機能が重なってくることがあります。問い合わせの記録が2か所にある、顧客の一覧が3か所にある、という状態です。
このとき、費用は足し算で増えているのに、現場の手間は減っていません。同じ情報を2回入れる作業が生まれているからです。
年に1度、「この情報はどれを正しいものとするか」を1枚の紙に書き出すと、たいてい1つか2つ、寄せられるものが見つかります。契約を減らせなくても、二重入力が消えるだけで現場の時間は戻ります。
席で数える料金と、会社で数える料金
料金の考え方には、大きく2つの型があります。
席で数える型——1ユーザーあたりいくら、という数え方です。今回の3製品はすべてこの型です。使う人が増えれば費用も増えます。人数が少ないうちは総額が小さく収まるのが利点で、5人の会社がサイボウズOfficeスタンダードを使えば月額3,000円です。この手軽さは大きな価値です。
会社で数える型——人数によらず定額、という数え方です。人数が増えても月額が変わらないので、1人あたりの費用は人数が増えるほど下がっていきます。ただし裏返すと、人数が少ないうちは1人あたりが割高になります。
どちらが優れているという話ではありません。自分の会社が今どちらの側にいて、3年後にどちらへ動くのかで、有利な型が変わるというだけです。
私はGoHighLevel(ゴーハイレベル)という会社単位で数える型のツールを日本語で提供している立場なので、この見方は中立ではありません。その前提で申し上げると、5人前後で人数が増える予定がない会社なら、席で数える型のほうが総額は小さく収まります。うちの型が効いてくるのは、人数が増える見込みがあるか、パートやアルバイトを含めて全員に行き渡らせたい場合です。
私たちが受け持っている範囲
自分の立場を明かしておきます。私は会計ソフト会社に29年、社長業は19年目です。中小企業の現場で生まれた仕事の仕組みを、AI時代向けに作り直しています。
うちが受け持っているのは社外に向かう区画——問い合わせを受けるページ、その後の追いかけ、商談の進み具合の管理です。社内の業務システムを現場が自分で組み立てる領域は、うちの守備範囲ではありません。そこはkintoneのほうが向いています。
弱いところも先に書きます。海外製なので画面の一部に英語が残ります。日本語化の手順は配っていますが、輸入品であることは変えられません。
判断の軸:いま、お客さまの名簿はどこにありますか
費用の話の締めくくりに、判断の軸を1つ置きます。
> いま、お客さまの名簿はどこにありますか。
Excelと紙なら、まず社内を1か所に集めるところから。人数が10人未満なら、最小人数の決まりがある製品は1人あたりが割高になるので、その計算を先にやってください。
グループウェアの中にあるなら、社内は整っています。足すべきは外向きの一区画だけで、全部を入れ替える必要はありません。
すでに複数のツールに散らばっているなら、契約を1つ減らすより先に、どれを正しいものとするかを決めるほうが効きます。費用が減らなくても、二重入力が消えれば時間が戻ります。
まとめ
- kintoneのライト・スタンダードは10ユーザーから、サイボウズOfficeとメールワイズは5ユーザー(5人)から(2026年8月8日 公式サイト確認)
- 年額は月額のちょうど12倍。7つのコースすべてで一致し、年払いによる差額はない
- 人数が少ないほど1人あたりの実質単価は上がる。kintoneスタンダードを3人で使うと1人あたり6,000円(表示は1,800円)
- 費用を抑える工夫は3つ——全員に配らない/コースを目的で選び直す/役割の重なりを1つに寄せる
- 席で数える型は少人数に有利、会社で数える型は人数が増えるほど有利。3年後にどちらへ動くかで選ぶ
料金は変わることがあります。判断の前に、必ず各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
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