使っていないものに、いくら払っているか——休眠アカウントの数え方【2026年8月調査】

目次

先に結論:まず数えてください。順番を間違えると業務が止まります

顧客管理ツールの費用を見直すとき、一番効くのは値引き交渉ではありません。いま使っていない分を数えることです。

そして、この作業には順番があります。先に「使っていない人」を止めてしまうと、その人が担当者として登録されている記録が触れなくなって、翌日の業務が止まることがあります。

この記事では2つのことを書きます。

  1. 数え方——使っていない人を、公式に用意されている画面で数える手順
  2. 順番——止める前に必ず済ませておく1つの作業

どちらも、いまの契約のまま、費用をかけずに今日できます。乗り換えの話は一切しません。


「使っていない分」は、思っているより静かに増えます

これは誰かの怠慢の話ではありません。構造の話です。

顧客管理ツールのアカウントが増えるきっかけは、たいてい正当な理由です。新しく人が入った。プロジェクトのために一時的に他部署の人にも見てもらった。外部の協力先にも参加してもらった。

一方で、減るきっかけは用意されていません。人が抜けても、プロジェクトが終わっても、誰かが管理画面を開いて止める作業をしないかぎり、そのアカウントは静かに残り続けます。そして毎月、契約人数に数えられます。

2026年8月8日に、公開されている顧客管理ツールへの不満52件を集めて分類したところ、費用に関する不満は12件ありました。そのうち単純に「高い」と言っているのは3件だけで、残る9件は「気づかないうちに積み上がっていく」という趣旨のものでした。

積み上がるものは、数えれば見えます。


数える道具は、最初から用意されています【2026年8月調査】

多くの製品には、誰がいつ最後に使ったかを確認する画面が標準で用意されています。追加の費用も、外部のツールも要りません。

kintoneの場合、cybozu.com 共通管理に「ユーザーのアクセス状況」という画面があります。公式ヘルプによれば、ここで確認できるのは次の2つです。

  • 最終アクセス日(2022年6月12日以降のアクセス状況が対象)
  • 当日を含む過去30日間のアクセス日数

この機能を使えるのは cybozu.com 共通管理者のみで、公式ヘルプには「kintoneのライセンスの付与状況が適切かどうか見直すために、各ユーザーのアクセス状況を把握したい、といった目的で活用できる」という趣旨が明記されています。

出典:kintone ヘルプ ユーザーのアクセス状況の確認(2026年8月8日確認)

つまり、この画面は「棚卸しのために作られた画面」です。提供元がそう書いています。使わない理由がありません。

他の製品にも同種の画面や、操作の記録を確認する仕組みがあります。ただし名称と確認できる範囲は製品ごとに違うので、お使いの製品の公式ヘルプでご確認ください。


この価格はどういう考えで作られているか

なぜ「使っていない人」が費用になるのか。構造を確認しておきます。

多くの顧客管理ツール・グループウェアは、契約したユーザー数に対して課金する仕組みです。実際にログインしたかどうかではなく、枠を持っているかどうかで数えます。

これは意地悪な設計ではありません。提供する側から見れば、ログインしていなくてもその人のためにデータの保存領域と設定は維持され続けます。実際、kintoneもサイボウズ Office も、公式サイトの表示では標準のディスク容量が1ユーザーあたり5GBという形で人数に紐づいています(2026年8月8日確認)。枠を持っている時点で、置き場所は確保されているわけです。

だから「使っていないから請求されない」という仕組みにはなりません。使っていない枠を減らすのは、契約している側の作業です。ここが分かれ目です。

もう1つ、社内の人と社外の人では、そもそも用意されている枠が違います。kintoneの料金表を並べると、こうなります。

枠の種類ライト(月額)スタンダード以上(月額)
社内の利用者1,000円1,800円(ワイドは3,000円)
社外向けのゲストユーザー700円1,440円

金額は1ユーザーあたり・税抜。出典:kintone 料金(2026年8月8日確認)

取引先や顧客に、社内の人と同じ枠を配っているなら、そこは確認する価値があります。


🔴 止める前に、必ずやる1つの作業

ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。

使っていない人のアカウントを止める前に、その人が「担当者」として登録されている記録の付け替えを済ませてください。

顧客管理ツールでは、案件・商談・顧客情報などのデータに「担当者」や「所有者」が紐づいています。人を止めたあとで、その人が担当者になっている記録を更新しようとすると、エラーになったり、権限の設定によっては開けなくなったりすることがあります。

これが起きると何が困るか。その日の営業が止まります。費用を数千円下げるためにやった作業で、翌朝の商談の記録が更新できなくなる——順番を間違えると、これが実際に起きます。

正しい順番は3段階です。

段階やること飛ばすと起きること
1 数える最終アクセス日と直近30日のアクセス日数を出し、止める候補を一覧にする感覚で決めることになり、必要な人まで止めてしまう
2 付け替える候補の人が担当者になっている記録を、有効な担当者か、担当者を置くための共有の受け皿へ移す翌日、その記録が更新できなくなる
3 止めるそのうえで停止・無効化する(削除ではなく)元に戻せなくなることがある

この順番は、複数の導入支援会社が公開している手順でも共通しています(例:Salesforce ライセンス費用最適化ガイド・2026年8月8日確認)。支援会社が公開している手法であり、当方の実施記録ではありません。

なお、多くの製品では「削除」ではなく「停止」「無効化」という選択肢が用意されています。削除は元に戻せないことが多く、停止は戻せることが多い——これも製品によって扱いが違うので、実行の前に必ず公式ヘルプでご確認ください。


この方法の一番の強み

数えることの良さは、費用が下がるかどうかに関係なく成果が残るところです。

数えた結果、全員が毎日使っていたなら、それは「いまの契約が正しい」という確認が取れたということです。上司や経営者に説明できる材料になります。下がらなかったことも成果です。

もう1つ。この作業は社内の誰にも迷惑をかけません。新しいツールを覚える必要も、現場の手順を変える必要もありません。管理者が管理画面を開くだけで完結します。

費用の見直しの中で、一番リスクが低く、一番先にやるべきなのがこれです。


それでも足りなくなる場面

数えても効かない場合を書いておきます。

1つ目、最小の人数に張り付いている場合。kintoneのライト・スタンダードは10ユーザーから、サイボウズ Office は5ユーザーからと公式サイトに記載があります(2026年8月8日確認)。5人の会社が5ユーザー分を払っているなら、止める人がいても金額は動きません。

2つ目、全員が本当に使っている場合。これは良いことです。次は「上位のプランが全員に要るか」という別の切り口になります。

3つ目、費用の中身がライセンスではなかった場合。請求の内訳が、ライセンスではなく構築費・保守費・運用代行費に寄っていることがあります。この場合、人を減らしても金額はほとんど動きません。請求書の費目を分解するところからです。

4つ目、そもそも足りないのが社外向けの区画だった場合。問い合わせを受けるページ、その後の追いかけ、商談の進み具合の記録。これらは社内の業務を整えるために作られた製品の料金ページに記載が見当たらないことがあります。無いと断定はしません。必ず公式サイトでご確認ください。この場合は、費用を下げる話ではなくなります。


私たちが受け持っている範囲

自分の立場を明かしておきます。私は会計ソフト会社に29年、社長業は19年目です。中小企業の現場で生まれた仕事の仕組みを、AI時代向けに作り直しています。

うちが受け持っているのは社外に向かう区画——問い合わせの受け口、その後の追いかけ、商談の進み具合の管理です。社内の業務システムを現場が自分で組み立てる領域は、うちの守備範囲ではありません。

弱いところも書いておきます。うちが扱っている GoHighLevel(ゴーハイレベル)は海外製なので、画面の一部に英語が残ります。日本語化の手順は配っていますが、輸入品であることは変えられません。

そのうえで申し上げると、この記事の作業をやってもらっても、うちには1円も入りません。それでも先に書いているのは、数えないまま移った方が、移った先でも同じ状態になるからです。


判断の軸:いま、お客さまの名簿はどこにありますか

> いま、お客さまの名簿はどこにありますか。

いまのツールの中にあるなら、この記事の手順で数えるところからです。名簿が生きているなら、契約の見直しだけで済むことがよくあります。

表計算ソフトと紙にも散らばっているなら、数える前に「どれを正しいものとするか」を決めてください。名簿が二重にあるかぎり、契約を減らしても手間は減りません。

社内には記録があるが、社外とのやりとりは残っていないなら、これは費用の話ではありません。足りない一区画の話です。


公式サイト要確認

  • 停止・無効化・削除の扱い(ライセンスの数え方に反映されるか、元に戻せるか、データがどうなるか)は製品ごとに違います。本記事では kintone の「ユーザーのアクセス状況」画面の仕様のみ公式ヘルプで確認しています。実行の前に、お使いの製品の公式ヘルプで必ずご確認ください。
  • 担当者の付け替え手順は製品ごとに異なります。一括で付け替える機能がある製品もあれば、無い製品もあります。公式サイトでご確認ください。
  • Salesforce の公式料金ページは、本記事の作成時点で当方の取得経路からは閲覧できませんでした。金額に関する記載は一切していません。
  • 表示した金額はすべて税抜です。実際のお支払いには消費税が加わります。

まとめ

  • 顧客管理ツールのアカウントは増えるきっかけはあるが、減るきっかけが用意されていない。だから静かに積み上がる
  • kintoneには「ユーザーのアクセス状況」画面があり、最終アクセス日と過去30日間のアクセス日数を確認できる。公式ヘルプに「ライセンスの見直しのために活用できる」という趣旨の記載がある
  • 課金はログインしたかどうかではなく、枠を持っているかどうか。使っていない枠を減らすのは契約している側の作業
  • 🔴 止める前に、担当者の付け替えを済ませる。順番は「数える→付け替える→止める」。逆にすると業務が止まる
  • 社外の関係者には別の枠が用意されていることがある(kintoneのゲストユーザーは月額700円/1,440円・税抜・2026年8月8日確認)

料金と仕様は変わることがあります。判断の前に、必ず各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。


よくある質問

Q. 何日ログインしていなければ「使っていない」と判断していいですか。 A. 一律の正解はありません。ただ、kintoneの画面が「過去30日間のアクセス日数」を出している以上、まず30日を目安に一覧を作るのが実務的です。そのうえで、月次の締めだけ使う人・季節性のある業務の担当者は個別に確認してください。

Q. 止めたアカウントは、あとで戻せますか。 A. 多くの製品では停止・無効化は戻せる設計になっていますが、削除は戻せないことが多いです。製品ごとに扱いが違うので、実行の前に公式ヘルプでご確認ください。

Q. 担当者の付け替えは、1件ずつやるしかないですか。 A. 一括で付け替える機能を持つ製品もあります。件数が多い場合は、その機能の有無を先に確認してください。無い場合は、止める人の数を絞るほうが早いことがあります。

Q. 数えた結果、誰も止められませんでした。無駄でしたか。 A. いいえ。「いまの契約が実態に合っている」という確認が取れています。次は上位プランの階層を見る番です。

Q. この作業は誰がやるべきですか。 A. 管理者の権限が要ります。kintoneの「ユーザーのアクセス状況」は cybozu.com 共通管理者のみが使える機能です。権限を持つ人が誰かを先に確認してください。


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中山博之(ニタ)/ニタ@AIと会社を経営する55歳
会計ソフト会社に29年、社長業は19年目。中小企業の現場で生まれた仕事の仕組みを、AI時代向けに作り直しています。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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