7月のある日、収入管理の画面を開くと、1枚のカードだけ金額が大きく下がっていました。
通常の月であれば17万円台の給付費ですが、その月は4.4万円。
体調不良で月の途中から休止に入った利用者さんのカードです(この数字は検証用の架空データです。実在の方のものではありません)。
月全体の集計だけを見ていた場合、この変化に気づくのは翌月の締めが終わってからになります。
一方、カード単位で管理していると、その日のうちに把握できます。

なぜ「合計」では気づけないのか
多くの事業所では、収入を月次の合計値で管理しています。
- 売上は月末締めで集計する
- 利用者ごとの内訳は、請求ソフトを開いて1人ずつ確認する
- 「先月より下がった理由」を分析するのは、そのあとになる
合計値だけを見ていると、変化は平均の中に埋もれてしまいます。
1人の休止によって数万円の減少があっても、ほかの利用者の増減と重なり、「今月は少し低い」という印象しか残りません。
その理由を特定する作業は、どうしても後追いになります。
仕組みの中身——1人×1か月=1枚のカード

このケース(静岡のある福祉事業所)では、GoHighLevel(GHL)という顧客管理システムの上で、利用者1人×1か月=1枚の「月次カード」という形で収入を管理しています。
この形にすると、収入の異常値は「1枚のカードだけ金額が沈んでいる」という状態で、そのまま画面に表れます。
さらに、月次カードは利用者さんの顧客カードにひも付いています。
そのため、金額が下がったカードをクリックすると、その方の情報をそのまま確認できます。
- 休止の理由と経緯(支援記録のメモ)
- 復帰の見込み(「8月第2週から週3日で復帰予定」など)
- 復帰した場合の来月の見込み額
つまり、「数字が下がった」→「誰に起きたか」→「なぜ下がったか」→「いつ戻る見込みか」→「来月はいくらになるか」という流れを、画面遷移2回で追えます。
月次カードに持たせる項目の例
月次カードをただの金額表示板ではなく、日々の運用で役立つ記録にするためには、持たせる項目をあらかじめ整理しておくことが大切です。例えば、次のような項目をカードに持たせます。
- 基本情報項目:利用者名、受給者証の番号、サービスの種類、対象の月(例:7月分)
- 給付費・利用者負担項目:国保連請求予定額、利用者負担額、当月の実績日数の見込み
- 変動・状態管理項目:稼働ステータス(通常、休止、体験など)、増減の理由メモ、直近の連絡日
こうした項目を1枚のカードに集約しておくことで、GoHighLevelで資金繰りを見える化——3か月先までの入金予定が当月売上から分かる就労継続支援B型事業所のケースのように、先の見通しを立てやすくなります。また、GoHighLevelで資格・契約の更新期限を自動管理——見落とし1件がそのままお金に響く福祉事業所のケースの仕組みともあわせて、事務作業の抜け漏れを防ぐ基盤となります。
下がったカードを見つけたときの確認の手順
月次カードの金額が下がっていることに気づいたあとの、具体的な確認の手順は次の通りです。
- 収入管理のダッシュボード上で、金額が沈んでいるカードをクリックして開く。
- カードに紐づいている顧客情報から、直近の支援記録やスタッフが残した申し送りメモを確認する。
- 利用者本人やご家族への連絡履歴から、欠席の理由が一時的な体調不良なのか、それとも長期化する要因があるのかを把握する。
- 請求ソフトや日報データと突合し、当月の実績日数にどの程度影響しているかを数字で再計算する。
この手順を当日中に踏むことで、月末まで放置されていたかもしれない売上のブレを、早い段階でキャッチできるようになります。
復帰の見込みの書き方
収入管理の精度を高めるうえで重要になるのが、復帰の見込みの残し方です。単に「休み」とだけ書くのではなく、次のような形式でメモを残すルールにしています。
- 記載の例:【復帰予定】8月第2週から週3日(月・水・金)で再開予定(本人・ご家族確認済み)
- 記載の例:【要観察】体調回復次第、主治医と相談のうえ、8月下旬に再面談を実施して判断
このように具体的な時期や条件をカードのメモ欄に記載しておくことで、来月以降の売上予測を立てる際、根拠のある数字として組み込むことができます。
会費制・継続課金への読み替えの例
福祉サービスの給付費管理だけでなく、月額会費制や定期利用のサービスを運営している事業でも、この考え方はそのまま応用できます。それぞれの事業における読み替えの例は次の通りです。
- フィットネス・スクール事業:利用者1人×1か月の「月謝・会員カード」を作成し、当月の継続・休会・プラン変更を即日把握する
- BtoBの継続課金・SaaS事業:顧客企業1社×1か月の「契約カード」を置き、利用頻度の低下や解約の予兆を早期に察知する
解約や休眠は、合計値で管理すると1か月遅れて見えますが、1件単位で管理するとその日に把握できます。GoHighLevelで経営ダッシュボードを作る——営業所別の売上・粗利・人件費率が、現場の記録から自動で積み上がるビルメンテナンス業のケースのように、各現場のデータを有機的に連動させることで、業態を問わず経営判断のスピードを上げることが可能です。
経営判断がどう変わるか

1人の変化をその日のうちに把握できるようになると、判断するタイミングも変わります。
- 収入の下振れを月の途中で織り込める。 資金繰りの見立てを1か月早く立てられます
- 復帰支援の優先度を数字で判断できる。 「この方の復帰は月◯万円に相当する」という形で定量的に捉えられます
- 同じ変化が複数人で起きた場合、傾向として早い段階で把握できる。 季節要因や環境要因による変化にも気づきやすくなります
福祉サービスに限らず、会費制、継続課金、定期利用の事業でも同じ考え方が当てはまります。
なお、この仕組みは、架空データ15名×4か月で実際に動作検証を行っています。
実在の利用者さんのデータは一切使用していません。
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この記事は、GoHighLevel導入シナリオ集(全20本)の1本です。
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