介護サービスを探しているご家族の多くは、比較する前の段階で立ち止まっています。
通所、訪問、入居、相談支援——。
種類が多く、名称も分かりにくいため、自分の親にはどのサービスが合うのか判断できません。
分からないから、問い合わせにも進めないのです。
「お気軽にご相談ください」と書かれていても、何を相談すればよいのかが分からない。
その状態では、相談という行動そのものが始まりません。
このケース(静岡のある介護サービス事業者)では、その「相談する前の迷い」を解消するために、入口へ向かう階段を1段増やす設計にしています。

設計——数問の選択で、入口まで案内する
Webサイトに「あなたに合う介護サービスは?」というシンプルな診断を設置します。
質問は3〜5問だけです。
- どなたのためですか?(ご本人/ご家族)
- いまの状況は?(自宅で生活中/入院中・退院予定/施設を探している)
- 希望の関わり方は?(日中だけ通いたい/自宅に来てほしい/入居したい/まず相談したい)
- 要介護認定は?(認定済み/申請中/未申請・わからない)
回答内容に応じて、「通いのサービス」「訪問のサービス」「入居のご案内」「まずは相談窓口へ」のように、おすすめの種別と短い説明を表示します。
そのまま見学や相談の予約へ進める導線です。
重要なのは、診断の精度を高めることではありません。
迷っている人が最初の一歩を踏み出せる状態をつくることです。
そのため、「まず相談したい」「わからない」という選択肢は必ず用意しています。
この設計の要——個人情報を扱わない
介護の相談では、要介護認定や健康状態など、特に慎重な取り扱いが求められる個人情報に隣接します。
この診断では、「必要以上の情報を扱わない」という考え方を設計の前提にしています。
- 診断で聞くのは、本人が自己申告できる、ざっくりした選択だけです。認定番号や保険証の情報は扱いません(「認定済み/申請中/わからない」で十分です)
- 診断の段階では、個人を特定する情報は保存しません。氏名や連絡先は、予約へ進むと決めた人だけが、通常のフォームで最小限入力します
- 結果には必ず一文を添えます。「あくまで目安です。正式なご案内は、相談・見学の場でいたします」——数問の選択だけで人の生活を断定しないための線引きです
AIチャットで相談を受ける、という選択肢

「診断ではなく、AIチャットボットで自由に相談してもらえばよいのではないか」という考え方もあります。
会話の自然さという点では、その考え方にも利点があります。
ただ、介護の相談は自由に話してもらうほど、健康状態や家庭の事情などが文章として蓄積されます。
そうした情報を外部のAIサービスが処理する構成は、この分野では慎重に考えるべきだと考えています。
そのため、この設計では入口を選択式の大まかな分岐に留め、できるだけ早く人による相談へつなぎます。
AIを活用する場面は、相談を受けた後です。
記録の整理や案内文の下書きなど、個人情報の取り扱いを踏まえた運用を前提としています。
派手な仕組みを目指すのではなく、扱う情報を増やさないことを優先した設計です。
仕組みの中身(要点)

- 診断はGoHighLevel(GHL)のクイズ・アンケート機能で組めます。回答に点数や区分を持たせ、結果によって表示と誘導先を分岐できます
- 診断→予約の導線は、カレンダー予約機能に直結します。予約が入れば顧客カードが自動で作られ、以降のリマインドも自動です
- この仕組みは設計段階です。これから自社で構築する過程も、この連載で公開していきます
サービスの種類が多く、利用者が選びきれずに離脱してしまう業種であれば、この考え方は応用できます。
士業、リフォーム、保険、スクールなどでも、診断という入口を設けることで、相談までの心理的な距離を縮められます。
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