カラー剤を塗っている途中、フェイシャルでパックを乗せている途中にスマホが震えても、お客様の前で出るわけにはいきません。
閉店後の片付けの時間にも電話は鳴ります。翌朝に折り返したら、もう別のお店で予約を取ったあとだった、ということもあります。
電話の中身は、だいたい決まっています。「今週末、空いていますか」「〇〇さんを指名できますか」「脱毛っておいくらですか」。
美容クリニックなら、そこに「ダウンタイムはどのくらいですか」という、受付では答えられない質問が混ざります。
結論から書くと、海外の美容の動画で見えたAI電話の使い方は、「予約の出入り口だけをAIに任せ、料金の確定と施術の判断は人に残す」形でした。日本では、エステ・美容室の予約受付は任せやすく、美容医療(クリニック)は、予約と場所・時間の案内までに範囲を狭めます。
先にお断りしておきます。材料は英語で公開されたYouTubeの動画4本です(出典は末尾)。4本とも話し手自身が客役のテスト通話で、本物のお客様の通話ではありません。当社が美容・サロンのお客様にAI電話を入れた記録はまだありません。動画の中の数字は話し手の主張で、当社は裏を取っていません。
なお、米国の「メドスパ」はエステと注射などの医療の施術を一つの店で扱う業態で、日本ではエステと美容クリニックにまたがります。
海外の例1 指名つきで予約を取る
メドスパ向けに、Retell(AIに電話を受け答えさせる道具)とn8n(処理をつなぐ自動化の道具)を組み、施術者3人のカレンダーにつないだ例です。
AIが先に出て、来店の目的、名前、「今おかけの番号でよろしいですか」、指名の有無、希望日時の順に聞きます。埋まっていれば近い3枠を返し、予約後に要約を表計算に送ります。
人に渡す場面は描かれていません。話し手がデモ用の番号に自分でかけたテスト通話です。
海外の例2 夜だけAIに出てもらう
ゴーハイレベル(GoHighLevel)を自社の名前で売る版の音声AIで、予約を受けさせた例です。AIは店名で出て、メニューの質問に答え、空きを2〜3枠示し、メールで確認を送ります。
目を引くのは入れ方です。営業中は人が出て、夜8時以降だけAIにする。AI用の番号を別に取り、Googleのお店のプロフィールとサイトに載せる形でした。
AIから話し手の携帯にかけたテスト通話です。
海外の例3 料金は幅で答え、確定は来店時に
これもRetellを使った受信の例で、質問への回答、予約、前日と1時間前のリマインド、来店後の口コミ依頼までを一続きにしています。
料金を聞かれると、AIは幅で答え、こう添えます。”exact costs confirmed during your consultation”(正確な費用はカウンセリングで確定します)。そのあと名前・電話・メールを復唱し、2枠を示して確定します。
テスト通話は2回で、二重予約にならない所も見せています。
海外の例4 同意済みの既存客に予約の案内
美容室の例で、こちらはAIから電話をかける発信です。ゴーハイレベルのワークフロー(条件がそろうと動く自動の手順)から、タグを付けた既存客に電話をかけます。
第一声で「〇〇(店名)のAIアシスタントです」と名乗り、「もう電話しないで、と言えば止めます」と止め方を伝えます。そのあとカットかカラーの予約を案内し、確定します。
結果は、興味あり・未定・興味なし(以後かけない)・不在(留守電)の4つに分かれます。話し手は、相手は同意済みの人で無差別の営業電話ではないと明言しています。自分の携帯にかけたテスト通話です。
並べて見えること
- 4本とも予約までAIに取らせており、どれも店の予約台帳とつないでいました。台帳が紙なら希望日時を聞いて人が確定する形になります。
- 人に渡す場面がほとんど描かれていません。肌の相談やクレームをどこで人に渡すかは、動画からは読み取れません。
- 第一声でAIと名乗るのは例4だけで、録音を告げる例はありませんでした。
日本でやるなら
冒頭の一言は、たとえば「〇〇サロンのAI受付です。この通話は録音し、ご予約の対応に使います。ご用件をどうぞ」。AIであること、録音、用件を最初にそろえます。
エステ・美容室で任せてよい所は、次のあたりです。
- 空き枠の案内と予約、指名の確認
- 営業時間・場所・駐車場の案内
- 料金は「目安は〇〇円からです。最終の金額はご来店時のカウンセリングで確定します」と答える
- 前日のリマインド
- 昼は人、夜だけAIという分け方
任せない所は、肌や体の状態への答え、施術の可否の判断、効果の約束、施術後のトラブル、コースの勧誘です。ここは「担当者から折り返します」で人に渡します。
美容クリニックは、AIは予約と場所・時間の案内までにとどめ、痛み・ダウンタイム・副作用・適応の質問は医師や看護師の折り返しに回すのが無理のない線です。
法令の線は次のとおりです。
- 名前や電話番号を聞くので、利用目的をあらかじめ公表していなければ、取得のときに通知か公表が要ります(個人情報保護法)
- クリニックの問い合わせへの個別の答えは、通常は広告に当たらないとされます。ただ、同じ文言をサイトや案内に使えば医療広告ガイドラインの対象になるので、応答文に効果の保証や体験談は入れません
- 施術の効果や料金を実際より良く・安く見せる言い方は景品表示法の不当表示に、店で使う化粧品などを医薬品のような効能でうたう言い方は薬機法に触れるおそれがあります
- エステの長いコース(1か月・5万円を超えるもの)は、特定商取引法の特定継続的役務提供の決まりの対象です。AIには勧めさせません
- 発信で契約を勧める電話は、特定商取引法の電話勧誘販売の規制の対象になりえます
発信は、例4のように同意済みの既存客に限り、店名・用件・止め方を冒頭で言う形なら日本でも筋が通ります。
例2の話し手は売り込み先の店名でデモを作って渡す方法も勧めていますが、無断で名前を使うことになるので避けます。
美容医療の発信の動画は、薬機法・医療広告の線がかかるため例から外しました。
いま言えること、まだ言えないこと
いま言えるのは、海外の公開動画4本で、美容の予約受付をAIに任せる形が実演されていることです。料金は来店時に確定という言い方、夜だけAI、同意済みの既存客への案内という型が見えます。
まだ言えないのは、本物のお客様の電話で予約が取れたかどうかです。4本ともテスト通話で、当社の導入記録もありません。日本語で指名や施術名をどこまで聞き取れるかも未確認です。
明日からできる一手
料金を聞かれたときの答え方を、紙1枚に書き出してみてください。「カットは〇〇円からです。髪の長さや状態で変わるので、最終の金額はご来店時にお伝えします」のような一文です。
スタッフ全員が同じ言い方で答えられれば、それがそのままAIに渡す台本の芯になります。
出典
- Anthony Shoosh『メドスパ・指名つき予約』(2026年1月22日・テスト通話)https://www.youtube.com/watch?v=SEa-wWtrmU0
- Hamza Automates『メドスパ・夜間だけAI』(2026年6月25日・テスト通話)https://www.youtube.com/watch?v=RdgsOiQXnyg
- EZJ『メドスパ・予約から口コミ依頼まで』(2025年10月30日・テスト通話)https://www.youtube.com/watch?v=JakKGUGt4hc
- GHL Wizard『美容室・既存客へ予約案内の発信』(2025年11月27日・テスト通話)https://www.youtube.com/watch?v=i1joejMPfkk
動画の中の数字・発言は話し手の主張で、当社は裏を取っていません。2026年9月27日に字幕を読んで要約しました。
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この記事は、ゴーハイレベル(GoHighLevel)導入シナリオ集の1本です。
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