研修の一番の敵は、内容の質ではありません。
「見てもらえないこと」です。
社内大学を作って動画を並べても、忙しい現場では再生ボタンがなかなか押されません。
「時間のあるときに見ておいてください」という言葉は、多くの場合、そのまま後回しになってしまいます。
そこで手を入れるべきなのは、研修の中身ではなく受講する体験そのものです。
研修動画を作っても見てもらえない会社が、受講率を上げるためには、単に教材を増やすのではなく、受講者が自発的に進めたくなる仕組みを整えることが求められます。

設計——ゲームが人を動かす仕組みを、そのまま借りる

ゲームが人を引きつける仕組みは、分解するととてもシンプルです。
現在地が見える。進むと貯まる。次にやることが1つ示される。
この3つを、GoHighLevel(GHL)のコース機能の上に組み込みます。
すでに会員制コミュニティを構築している場合、GoHighLevelで会員制コミュニティを1つの仕組みに——会員管理・決済・講座・イベントを別々のツールでやらない設計のように、講座やイベントの導線をひとまとめにすることで、受講者にとっても迷いにくい環境が整います。
- 進捗の見える化: どの講座をどこまで受講したかを、受講者本人にも管理側にも見えるようにする(コース機能の標準装備です)
- 修了の積み上げ: 講座を終えるたびに修了記録が貯まる。「初級コース修了」「◯◯業務ひととおり」のような節目を設計する
- 次の一歩の提示: 修了をきっかけに、次に受講してほしい講座を自動で案内する(ワークフローで組めます)。「全部で30本あります」ではなく、「次はこの1本です」と示す
「見ておいてください」が、「ここまで進みましたね。次はこれです」に変わります。
この違いが、そのまま受講率の差につながります。
自社実験——研修を丸ごとRPGにしてみた
この設計思想を確かめるために、自社ではさらに踏み込んだ実験をしています。
研修コンテンツを、ロールプレイングゲーム形式にした実物を公開しました。
学ぶ内容をクエスト(依頼)に見立て、進むほど物語が展開する構成です。
実際に作ってみて分かったのは、同じ内容でも「教材」と呼ぶか「ゲーム」と呼ぶかで、受け取られ方が大きく変わるということでした。
もちろん、すべてをゲーム化する必要はありません。
ただ、「進んでいる実感」を設計することの効果は、実物を通して確認できました。
「進む・貯まる」を研修に組み込むと、なぜ受講率が上がるのか。理屈だけでなく、実感した話があります。
■現場の声(実録コラム)
以前、代理店の紹介の仕組みに、ランキングや達成度が見える仕掛けをひとつ入れただけで、周りの動き方が目に見えて変わったことがありました。景気が良くないときほど、人はそのちょっとした「進んでいる感」「お得感」に反応する——これは営業の紹介制度で気づいたことですが、研修や勉強にもそのまま当てはまります。
「終わったかどうか」だけを管理する仕組みと、「どこまで進んだか」が見える仕組みでは、同じ内容でも人の動き方がまったく違います。
節目(修了)の設計の例
ゲーミフィケーションを取り入れるうえで、途中の節目をどのように置くかは受講率を左右する大切な要素です。
例えば、長い動画をいきなり1本見せるのではなく、短い単位に区切ります。
1つの区切りが終わるごとに、修了の記録が残るようにします。
これにより、受講者は「今日ここまで進んだ」という小さな達成感を積み重ねることができます。
仕事の合間のわずかな時間でも取り組みやすくなり、やらされ感を和らげることが可能です。
次の一本を自動で案内する流れ
一つのモジュールや講座が終了したあとに、次に何を学ぶべきか迷わせない工夫も重要です。
修了をきっかけに、次に受講してほしい講座をワークフローで自動で案内します。
講座そのものの作り方は、コース機能で社内大学を作る記事に書きました。
受講者が自分でメニューに戻って次にどれを見るべきか探す手間をなくすことで、途中で止まる人が減ります。
自動化されたワークフローを活用すれば、個別の進捗に合わせた案内も手間なく実現できます。
受講データの見方と使ってはいけない使い方

ゲーミフィケーションには、副産物もあります。
受講データが自然に蓄積されることです。
- どの講座で止まる人が多いか(=分かりにくい教材)
- どの講座が繰り返し見られているか(=現場で本当に必要な知識)
次に作るべき研修動画を、勘ではなくデータから判断できるようになります。
教材の量産方法は別の記事(社内大学・動画を1本1時間で量産)で紹介したとおりです。
「作るべきものが分かる→すぐ作れる」という流れができれば、教材改善のサイクルを回しやすくなります。
なお、この受講データは教材を改善するためだけに使うと、最初に決めておくことを勧めます。
誰が遅れているかを監視する目的で使い始めた瞬間、受講者は安心して学べなくなります。
その結果、データそのものの価値も失われてしまいます。
競争の弊害を防ぐためにも、ランキングやデータを社内の人事評価や監視の道具としてではなく、あくまで仕組みや教材の改善、あるいは受講者本人のモチベーションを高めるために活用する姿勢が大切です。
小さく始める順番
いきなりすべての研修をゲーミフィケーション仕様に変更しようとすると、準備に時間がかかってしまい頓挫する原因になります。
まずは特定の部署や、新しく入ってきたメンバー向けの基礎研修など、範囲を絞って小さく始めるのが確実です。
既存の講座の中から1つのコースを選び、進捗が見える設定と修了時の自動案内を一つだけ組み込んでみます。
実際に運用してみて、現場の受講率や反応を確かめながら少しずつ範囲を広げていくことで、無理なく定着させることができます。
この設計は、コース機能の標準装備(進捗記録)と自動化を組み合わせることで、段階的に構築できます。
自社の社内大学へ組み込んでいく過程も、この連載で公開していきます。
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この記事は、GoHighLevel導入シナリオ集(全20本)の1本です。
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