工事1件の見積を出すたびに、複数のメーカーや商社から見積書を取り寄せる。
届いた見積書は、会社ごとに書式が違う。FAXで届いたものは、文字ではなく画像です。
それを1枚ずつ見ながら、自社の見積として弥生販売に打ち直し、建設会社へ出す。
今回ご一緒した建設資材の販売会社では、この「まとめて打ち直す」作業が、見積の件数だけ毎日発生していました。
結論から書くと、仕入先の見積書PDFをAIで読み取り、数字を機械で検算し、複数社の分を1本の見積にまとめて、弥生販売の取り込み用CSVで出す仕組みを作りました。合わない行は赤で止め、必ず人が確かめます。
この記事は、建設資材販売会社と一緒に、2026年8月から9月にかけて作って確かめた記録です。社名は伏せています。
先にお断りしておきます。この仕組みは、まだお客様の業務で本番には使われていません。書く数字は、預かった実物の見積書で当社が確かめた値だけです。「作業が何割減った」という数字は、まだありません。
困りごとは「見積書の書式がばらばら」なこと
最初の相談で、見積書を実物で13本預かりました。1本ずつ中身を数えると、次の内訳でした。
| 見積書の形 | 本数 |
|---|---|
| 文字として読めるPDF | 5本 |
| スキャンやFAXの画像 | 6本 |
| 図面や内訳書への手書きの回答 | 2本 |
13本のうち8本は、文字のデータを持たない画像でした。PDFから文字を抜き出すだけの方法では、半分以上が読めません。ここが、AIに画像ごと読ませる理由になりました。
書式の癖もありました。
- 「A案かB案のどちらか」を選ぶ見積で、合計欄が空いている
- 定価と仕切り値の2列が並んでいる
- 掛け率だけが書かれ、実際に納める金額が書かれていない
- 発行日が無い
明細は13本で合わせて127行ありました。これを人が1行ずつ打ち直しています。
作った物1 見積書をAIで読み、数字を機械で検算する
見積書のPDFを入れると、AIが品名・数量・単価・金額を読み取る作りです(お客様が使う画面の上では、まだ動かしていません)。
開発の段階で実物13本をAIに読ませ、その結果を使って、下の検算と信号の出方を確かめました。読み取りの正解率は、まだ測っていません。
ただし、AIが読んだ数字をそのまま信じる作りにはしていません。読み取った後に、機械が3段で確かめます。
- 検算: 数量×単価が金額と合うか
- 形: 必要な欄が埋まっているか、選択式の見積ではないか
- 過去の実績: 以前に同じ品番をいくらで仕入れたか
結果は行ごとに緑・黄・赤で出ます。赤の行は取り込み用のCSVに入れず、確認用の一覧に回します。「間違ったまま黙って弥生に入る」ことが無いように、止める側に倒しています。
手書きの回答と、合計欄が空いた選択式の見積は、必ず人が見る扱いにしました。
作った物2 複数社の見積を、1本の見積にまとめる
この会社の仕事は、仕入先の見積を集めて、自社の販売見積を1本作ることです。だから既定の動きは「複数社の分を1本の見積伝票にまとめる」にしました。
実物の見積書3社分で通しで確かめた結果です(2026年9月11日)。
| 確かめたこと | 結果 |
|---|---|
| 見積伝票の本数 | 1本にまとまった |
| 行数 | 53行 |
| 金額 | まとめる前と後で、1円も増減なし |
| 仕入先の区切り | 3社それぞれの見出し行が入った |
| 弥生販売の取り込み形式 | 全行が57列で、形式の検査に適合 |
必要な商品だけを抜き出す機能も付けました。抜き出して落とした行の数は、画面に必ず出します。黙って消すことはしません。
作った物3 画面で直すと、信号が変わる
赤で止まった行は、画面で直せます。
実物の見積書1本で、検算が合わずに赤になった行の単価を画面で直すと、その行は緑に変わり、取り込み用のCSVに入りました(2026年9月11日、当社の開発用パソコンの上での確認)。
AIの読み違いは、ゼロにはできません。だから「読み違いを人が早く見つけて、その場で直せる」ことを先に作りました。
弥生販売の見積書はCSVで取り込む(57列)
弥生販売には、外から直接つなぐ仕組み(API)がありません(2026年9月、弥生の公開情報で確認)。そこで、弥生販売の「見積書」の取り込みに使うCSVの形に合わせて出力しています。
取り込みの形式は、弥生の公式の仕様書で57列と確かめました。お客様が使っている古い版と新しい版で、この57列の仕様に違いが無いことも確認しています(公式の仕様書どうしを照らし合わせたもので、弥生販売の実機への取り込みはまだです)。
案件のやり取りと、当社から出す見積書の下書きは、GoHighLevel(ゴーハイレベル)の顧客台帳で管理しています。見積書の読み取りとまとめは、GoHighLevelの外で動く小さなWebアプリです。
いま言えること、まだ言えないこと
いま言えるのは、次の3つです。
- 実物の見積書13本のうち8本が画像で、文字を抜き出すだけでは読めないこと
- 複数社の見積を1本にまとめても、金額が1円も動かないこと(実物3社分)
- 赤の行は取り込みに入らず、画面で直すと取り込みに戻ること
まだ言えないのは、次の3つです。
- AIの読み取りの正解率。まだ測っていません
- 見積1件あたり、何分短くなったか。お客様の業務で使う前と後で測ってから書きます
- 弥生販売の実機への取り込み。お客様の商品台帳を預かってから行います
同業の会社が、明日からできる一手
AIを入れる前に、1つだけできることがあります。
先月届いた仕入先の見積書を、10本だけ机に並べてください。そして、1本ずつ次の3つに分けてみてください。
- 文字として読めるPDF
- FAXやスキャンの画像
- 手書き
画像と手書きが半分を超えるなら、PDFから文字を抜くだけの仕組みでは足りません。画像ごと読めるAIが要ります。逆に、読めるPDFがほとんどなら、もっと簡単な仕組みで始められます。
この仕分けが、自社に合う仕組みを選ぶ最初の物差しになります。
出典
本文の数字は、株式会社トレジャーハンティングが、お客様から預かった実物の見積書で確かめた値です(2026年8月28日〜9月11日)。見積書の中身・仕入先・金額は、記事には一切載せていません。弥生販売の取り込み形式は、弥生株式会社が公開している仕様書で確認しました。
関連記事
- GoHighLevelは今の業務ソフトを置き換えない——CSV連携で「数字だけ集める」並走設計のケース(会計・生産管理・基幹システムとの共存)
- 不動産のAI活用事例|内見中の電話をAIが受付、物件紹介文も下書きした記録
この記事は、GoHighLevel導入シナリオ集の1本です。
この記事の仕組みを、自社の業務で動かすところまで一緒に進める「建設資材販売業向けAI活用講座」を、株式会社トレジャーハンティング 教育事業部で準備しています。仕入先の見積書の読み取りと取りまとめ、弥生販売への取り込み、読み違いを人が早く見つける確認の仕方を、受講される会社の実際の見積書に合わせて組み立てる講座です。見積書の中身・仕入先・金額は、外に出さない扱いで進めます。開講の準備ができしだい、日程と内容をメールでご案内します。登録はお名前とメールアドレスだけです。
→ 仕入先の見積書を弥生販売に取り込む仕組みづくり(建設資材販売業向けAI活用講座)の案内を受け取る
この記事の段取りを、自分の会社で回せるようにしたい方へ
音声メモから投稿文を作る、地図検索とSNSを整える、問い合わせをフォームで受けて一覧で管理する。集客から受付までの「小さな営業導線」を、AIを使って自分の手で作る実務講座を開いています。オンラインで30分の無料個別相談から始められます。
運営: 株式会社トレジャーハンティング

コメント